column院長コラム

嚢胞 のう胞 cyst 水たまり 水泡

よく、「検診で経過観察になって心配なんです!」と駆け込んでくる方がいらっしゃいます。

内容を読んでみると、経過観察(1年後)になっているのに不安になって検診結果が来てすぐに受診されてしまうことがあります。

検診結果が郵送でくると、説明してもらえないし、内容がよくわからないと不安ですよね。
C:経過観察です。乳腺囊胞疑い、乳腺腫瘤疑い。

なんて書いてあるとCってなに?!何が悪いの?嚢胞って?!心臓とびでそうにびっくりしますよね。

私のクリニックに来ていただいたらもちろんすぐに検査をして、経過観察できるものであることをお話するのですが、せっかく検診を受けて経過観察ですんでいるのに不安になったりもう一度受診すると検査代もかかるので、もったいないなあと思うこともあります。

中でも、「乳房超音波検査;嚢胞(のうほう)あり 経過観察必要(1年後受診)」というのに不安にならないように、このブログを書いてみました。

検診の経過観察は、要精査(精密検査してください)とは違って、文字どおり、また来年にも検診を受けて経過を観察してください、というくらいの意味合いです。

嚢胞、というのは、乳腺の中にある、乳管という管の一部が袋状になり、中に水がたまった状態をいいます。乳管は、授乳中には母乳がとおる通り道なのですが、授乳していない時も軽度の浸出液が出ることがあります。これがたまっているだけなので、水たまり、と私は呼ぶこともあります。嚢胞、といういかめしい名前より水泡、の方がわかりやすいなと思っています。

女性ホルモンのアンバランスが原因のひとつと考えられていますが、閉経するなどして女性ホルモンの分泌が低下してくると自然に消えることもあり、治療の必要はありません。また、嚢胞は一つだけではなく多くある方もいらっしゃいますが、がん化することはありませんし、がんになりやすい乳腺ということもありませんので心配いりません。

穿刺(注射針を刺して中身の水を抜く)してもいいのですが、翌日にはおそらく元どおりですからあまりお勧めではありません。

ラジオでもお話ししていますが、とにかく心配しすぎてみなさんが不安な一夜を過ごされるのが嫌なのです。もちろん、要精査となっているのに無視してはいけません。
正しい知識と、正しいタイミングでの受診をお願いします!