column院長コラム

一撃必殺

乳腺の中に異常を疑うものがあると、それが癌かどうか、調べる必要があります。
様々な検査方法がありますが、その異常を疑う乳腺内のものがどれくらい癌ぽいか、乳房内の場所がどこか、年齢、飲んでいる薬の種類、これまでどのタイミングで検診して来たか、などの違いで検査方法がかわって来ます。
どのやり方を選ぶか、いつするか。
乳腺科医の得意とする、重要な仕事です。

経過観察;その名の通り、三ヶ月後や半年後にもう一度同じ検査をして、乳房内の影が変化ないかを観察します。
 変化がなければ良性であったと安心感がつよまりますし、もし変化があれば次の検査にと進みます。
 全ての人が針を刺す検査を必要とするわけではありません。
 経過観察も重要な検査ですので、忘れずにまた来てくださいね。

細胞診;細い針(採血で使う針と同じくらい)を刺して、細胞を少し吸いとります。
 よいところは、痛みも少なく痕も残りません。わるいところは、情報が少なく、診断が難しい時があります。
針生検;局所麻酔(注射の麻酔薬)してから、一回り太い針を用いてシャープペンシルの芯くらいの太さの組織を取ります。
 よいところは、そんなに時間がかからず行えます。情報はしっかりあります。わるいところは、細胞診より少しお値段が高いところと、わずかに痕が残るところです。
マンモトーム生検;局所麻酔をしてから、さらに太い組織を多く取れます。
 よいところは、すばらしく情報が多く、しっかりと診断がつけられます。悪いところは、お値段が高いところです。わずかに痕が残るのは針生検と同程度です。

私はがんセンターで検査隊長として1年間検査し続けましたので、「ただ組織をとればいい」というのが間違いであることを知っています。
「もし癌であるならこのような治療が必要になるであろうからそれを邪魔しないようば場所から穿刺し、さらにしこりのこの部位がもっともがん細胞がいるであろうからそこを狙う」
乳腺医として診断から手術を含む治療をたくさんしてきましたので、いろいろなことを想定しながら検査をすることができます。

一撃必殺
細胞診は数ミリ程度あれば穿刺することが可能です。小さくて難しいということはありません。
組織診の時は、傷は最も目立たない位置かつ、もし癌であっても手術を邪魔しない部位から、そして万が一、再建手術になることがあっても形成外科の先生を悩ませない位置から、針を穿刺します。
皮膚に小さめの傷をつけるのですが、これも、皮膚の向き(皮膚割線といいます)を考えつつ、針ぎりぎりの大きさでお傷をつけます。
うまくしこりに刺せなかったからといっていくつも傷をつけるのは言語道断です。
また、できるだけ検査を受けられる方が不安なく痛みなく受けられるようにもしています。
幸い、「痛くなかったです」と言っていただけることが多く安心しますが、かなりみなさん不安ですよね、検査受ける時って。。
これからも痛くない検査ができるよう努力してまいります。

どうしてこの検査をするか、きちんと説明しますので遠慮なくどうぞ!